2008年8月31日日曜日

Saturday, 16:30 at 新橋

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カフェに座っていると、よく聞こえてくる会話と、近くてもぜんぜん聞こえない会話とがある。どうしてそういうことが起こるのかはよくわからない。正確に言えば、明らかに音量が大きいせいだろうと思うことはある。それに結局のところ興味があって、耳をそばだててしまうから聞こえてくるのだ、と思われることもある。だがそれですべて説明できるわけじゃない。あきらかに堂々と話しているのに、ボリュームを絞った映像を見てるみたいに音だけがない。そういう時もあるのだ。

スターバックスの6人掛けのデスクタイプの席には、2人連れの女の人が座っていた。大ぶりなバッグとレジ袋とが2つずつ、机の上を占めており、2人はぺちゃくちゃとしゃべっていた。いやよく見るとそうじゃない。ビニールをがさつかせて、袋に入ったスナックやらグミやら腹持ちのよさそうなビスケットなどを次々に取りだし、袋を破っては食べ続けているのだった。

私は、フィンランドの教育について書いてあるという『ニッポンには対話がない』を読んでいた。1章ぶん読み終わって見上げると、そのうちの1人がまた新しい袋を開けるところだった。2人とも痩せているのが不思議なほどだ。レジ袋はさっきの半分ぐらいにしぼんでいた。

2人は結局、それぞれのレジ袋を片手でシュッと絞って仕舞えるようになるまで音もなく食べ続けた。外はまだ、雨が降っている。
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