「最近、うちのねこがね」とマダムが言う。
「夜に家族が寝静まると、起き出して机のものを食べてるんですよ」
「あらま」
「ひときれだけ残っちゃったピッツアとか、レタスチャーハンとか……こないだは、肉団子なんかも」
「それはごちそうだこと」
相づちを打っているのは、マダムの友達。
「それが困ったことに」とマダムは続ける。「気に入ったところだけぺろぺろ舐めちゃって、まったくそのまんま。だからうっかりすると舐めたってことに気がつかないじゃないですか。ねえ?」
「それでどうして気がついたんです?」
「ある日ピッツアの溶けたチーズが、朝になってみると、ずれていたの。それで次の日に、寝たとみせかけて見てたのよ」
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