2008年9月22日月曜日

Words Eater

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昔むかし、神宮前のかなり目立つ交差点の角にある雑居ビルの、その中のさらに角に、オールディーズなインテリアの飲食店があった。インテリアと音楽がなにやらアメリカンな、マリリンモンローのポスターが貼ってあるような店だ。その店のランチセットについてくるコーヒーは、もともと薄暗い照明もあって、炭火焙煎だからというよりも、ただただ黒くて苦いのだが、熱いことだけは取り柄だったのだ。お酢差しのような瓶にバーボンが入れてあって、マグへざっと注ぐと、勢いよく香りが立った。

そんなふうに、いつのまにか、カフェにいながらウィスキーのことを思いだしていた。

そして私は、なんだかおこがましい気がしてきた。それは言葉と言葉とをくっつけたり離したりしながら、結局はのみこんでやろうという話なんじゃないのか?

たとえば翻訳というのは苦しいばっかりで、ちっとも楽しくないじゃないかと思ったりもしたのだけれど、飲み込めているという実感があればそれはできる。翻訳という仕事が役に立つのならば、それはよりよき活用と言うべきだろう。

それでいったい、何を飲み込んだんだ?
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