2008年9月30日火曜日

イタチのカフェ・アルバイト

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「べつにわたしは、しょうばいはできないのです」
と、イタチは言った。
「だからおそうじのろうどうとか、ガーデナーなんかがむいていると思います」
私は、ハローワークの職員になったような錯覚に陥りつつあった。

イタチはそこで、パッと顔を上げた。
「そうだ」
「どうしたんです?」
「いや……」
と、今度は急にがっかりして、顔を落とした。
「いや、いいんです」
「そうですか? 何か思いついたんじゃないですか? 向いてる仕事とか?」
別に私は職業安定担当員じゃないんだし。

「いや……」
イタチはちょっと照れていた。でもやっと言った、次のように。
「カップ一杯のコーヒーを売ることなら、できるかもしれないです」

そしてこう付け加えた。
「おしごとの合間に、つくえなんかも、ちょっとそうじしたりして」
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