2008年10月1日水曜日

イタチの話。

space
とはいえ、イタチがカフェに中期アルバイト員として採用されるまでには、それなりの期間が必要だった。
「しかたがないですよ。わたしはなにしろ未経験でしたし」
それにそもそも、動物がカフェで労働するということについて、動物愛護団体から抗議があったらどうするのだ、という問題もあったようだ。
「それは、動物園の動物たちがいいにきてくれたんです。しかもわたしの場合は本人の意志ではじめる労働ですから」
きけばきくほどすったもんだがあったらしい。
「でもこんどは、ふつうの、動物園めあてではないお店で、動物がはたらくというのはどうなのかって」
「動物がいるとは思わないものね」
「そうなんです」
「でも動物めあてになるってこともあるだろうしね」
「そうなんです」
「なるほど」
「そういう初歩的な問題だけではなく、あらゆるマニュアル的な問題があったんです」
「マニュアル的な問題?」
「そうです。それはまさにマニュアル的な問題だったんです」
space

0 件のコメント: