2008年10月14日火曜日

イタチ雲。

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ゆっくりと、南の空を雲が流れていく。

今日、イタチはすし詰めの研修プログラムから1日だけ解放されて、川辺へ来た。鼻の先を何かの実が、綿帽子をつけてすっと飛んでいく。イタチは、横にのびていた。

「明日は動物学者の先生がいらして、イタチについて私たちが知っておくべき事柄についてを中心に、講義をいただきます。したがって……イタチさんにはご出席いただかなくて結構です」

鼻先でぴしゃりと戸を閉められたような気がしたけど、こうして休めて、天気もよくて、河原で過ごせたほうがよかったかもしれないな、とイタチは思った。今頃みんなは、動物学者の先生の講義を、ふむふむとか、へえーとか言いながら、聞いているんだろうな。

雲はいつの間にか、イタチによく似たかたちに、南の空に寝そべっていた。あれじゃあまるで「ラッコ」だけどね、とイタチは思った。
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