2008年10月8日水曜日

緊急アニマル・マニュアル会議

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その会議は、営業が終わったカフェの店内で行われた。3人がラテ、1人がアイスコーヒー、もう1人がハウスブレンドのホットだった。最後の1人がやってくると、わたしにラテを頼み、さっそく会議が始まった。
「まず、何が起こったのか聞かせてくれ」

「はい。当店では3カ月前より、クマが勤務しています。そのクマが今日、キッチンで突然暴れて、クリーマーの機械を壊しちゃったんです」と、店長が報告を始めた。
「ほう」
「誰にもけがはなかったし、ドスっという感じで、さほど大きな音が出なかったのもさいわいでした」
「なるほど、珍しい事案だね」
「はい」
すると、別の一人が言った。
「アラスカに応援を頼んで意見を聞きたいですね」
アラスカにはストアがない
その人はすっかり黙ってしまった。

最後に来た人は(たぶん一番えらい人だ)、ぐるりと周囲を見回して、ダストボックスの前に立っていたわたしを見とめると、
「きみ、不愉快じゃないかね?」と言った。
「少し」とわたしは正直に答えた。「下階へ行っています。何かあったら呼んでください」
その人は大きくひとつ頷いた。
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